錦糸町駅前クリニック

BOTOX

ボトックス注射

歴史

A 型ボツリヌス毒素は、末梢の神経筋接合部において神経終末からのアセチルコリンの放出を阻害することにより、神経筋伝達を抑制し、筋弛緩作用を示す。
米国の眼科医である Scott らはその作用に着目し、1973 年に「斜視」の薬物療法を検討する目的でサルの眼筋に投与したところ、全身性の毒性を発現することなく、持続的な効果発現が認められた。これを契機に、A 型ボツリヌス毒素の筋弛緩作用を臨床応用する試みが進められた。
1988 年初頭より、Scott の要請を受けて米国アラガン社が開発に携わり、「斜視」および「眼瞼痙攣」を適応症として FDA の承認を取得した。日本においては、アラガン株式会社がボトックス ® 注用 100 単位の臨床開発を進め、1996 年に「眼瞼痙攣」を効能・効果として輸入承認された。その後、2000 年に「片側顔面痙攣」、2001 年に「痙性斜頸」 の追加効能が承認された。
2005 年 12 月 13 日より、グラクソ・スミスクライン株式会社が本剤の日本と中国における開発権および販売権の供与を受けた。その後、2008 年 10 月には「ボトックス ® 注用 50 単位」の剤形が承認され、さらに 2009 年 2 月に「2 歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足」 2010年10月に「上肢痙縮、下肢痙縮」、2012 年 11 月に「重度の原発性腋窩多汗症」の追加効能が承認された。
その過程で表情筋・随意筋に対するボツリヌス毒素を使用したリデザインの手法が編み出され、メスを用いない美容整形として発展している。

ボトックス注射とは?

ボツリヌス菌により産生されるボツリヌス毒素(神経毒素、血球凝集素および非神経毒素—非血球凝集素からなる複合体)を用いて、しわの原因となっている筋肉が収縮する力を弱め、しわを緩和する治療です。
神経と筋肉の間で放出されているアセチルコリンという伝達物質を出させなくすることで、神経の刺激が筋肉に伝わらなくなり収縮を抑制するという効果を利用しています。
この効果は投与後 2~3 日目から現われ、通常 3~4 ヵ月持続します。
その後、時間の経過と共に効果が消失し、投与前の状態に戻ります。
再治療することによって効果を反復することが可能です。(長期間の使用で効果が減弱することがあります)

当院で使用しているボトックス注射

当院で使用しているボトックスはアラガンジャパン社が販売している「ボトックスビスタ®」です。ボトックスビスタ® は、ボツリヌス菌の作り出す A 型ボツリヌス毒素(天然のタンパク質)を有効成分とする素材です。ボツリヌス菌を注射するわけではありませんので、ボツリヌス菌に感染するといった危険性はありません。様々な研究の結果、このタンパク質を極少量緊張している筋肉に直接注射すると、その筋肉が弛緩することが分かり、医薬品として利用されるようになりました。1989 年にアメリカで最初に医薬品として承認され、現在は世界 91 ヵ国で承認され、広く使用されている無色~微黄色の素材です。65 歳未満の成人における眉間又は目尻の表情皺に特に使用推奨されています。
ボトックスビスタ® は、定められた資格を持つ医師のみが投与することができます。
使用前に医師の診察と同意書へのサインが必要です。

ボトックス注射の実際

施術可能な箇所

ボトックスはしわ治療として有名ですが、あらゆるしわに効果があるかというと答えは「NO」で、目尻の笑いしわ、眉間の縦じわ、額の横じわなど、いわゆる「表情じわ」と呼ばれるしわへの治療が最も効果的です。
もちろんちょっとした小じわを改善してくれることもありますが、ボトックス注入する場所や量など細かく判断していく必要があります。
当院では、事前にお肌の状態を十分チェックさせていただいたうえで、患者様それぞれに合った治療を提案させていただきます。
通常、当院で行う施術箇所は前額部、眉間、目尻、アゴの梅干し皺、咬筋(エラ)の各部位となっています。
他の部位への御相談は直接医師にお話ください。(場合によってはボトックスではなく、ヒアルロン酸などの治療をお勧めする場合もありますが、美容皮膚科として、患者様にとって最も適切な治療法をお勧めしていることをご理解いただければと思います。)

施術方法

洗顔後にマーキングを行い、極細の注射針を用いて資格を持つ医師が施術を行います。
ボトックス®は極細の針で少しずつ注入します。施術時間は本数や注入箇所の数によりますが、額のしわであれば5分程度です。多汗症の場合は、両ワキで15分程度です。痛みに敏感な方は別途麻酔クリームを30分程度塗ってから注射を行うと、ほとんど痛みなく施術が可能です。
注射部位の皮膚自体に変化を与えるものではないため、施術後すぐに日常生活に戻ることができます。針跡なども基本的にはメイクでカバーでき、自然と治まります。
※施術部位のお化粧を落とす必要があります。施術後も最低2時間はお化粧をお控えください。

効果時間

効果は通常早い方で数日後に、遅くとも10日目頃から効果が表れ、個人差はありますが、3~6カ月程度効果が持続します。(咬筋など太い筋肉への施術は効果発現まで1ヶ月程度要することがあります)
その後時間の経過と共に効果が消失し、投与前の状態に戻ります。この場合ボトックス® を再投与することによって同様の効果が現れます。この薬の使用を長期間繰り返した場合、中和抗体(毒素を特異的に失活させる抗体)の産生により効果が弱くなっていくことがあります。すでに他院でボトックス治療を繰り返している方はご相談ください。

副作用

施術直後にアレルギー性の症状が起こる可能性があります。(冷や汗、めまい、意識がうすれる、考えがまとまらない、血の気が引く、息切れ、息苦しい、からだがだるい、ふらつき、眼の違和感、まぶしい、眼の異物感、涙がでる、眼の痛み、ものの形が見えにくい、ほてり、眼と口唇のまわりのはれ、しゃがれ声、息苦しい、動悸、じんましん、関節の痛み、発熱など)
当院で初期対応が可能ですので、疑わしい場合はすぐにスタッフに連絡してください。

よくあるご質問

ボトックスでどんな治療ができますか?

ボトックスは表情しわに効果的です。表情しわには、眉間の縦しわ、額の横しわ、目尻のしわ、アゴの梅干状のしわ、口元のしわなどがあります。
ボトックスではしわ治療以外に小顔治療、目を大きくする、脚を細くするなどのプチ整形や、多汗症治療も可能です。また、額をリフトするリフト効果を出すこともできますが、当院では対応しておりません。

治療にどのくらい時間がかかりますか?

治療(注射)は5分程度で終わります。当日の診察や部位決定、麻酔などに別途、30分程度お時間を頂きます。

効果はどのくらい持ちますか?

しわ治療はボトックス注射後1~10日で効果が現れ、その効果は3~6ヶ月ほど続きます。一般的に、2回目以降の治療効果は初回より長く持続すると言われています。これは、しわを作る原因筋が、ボトックスが効いている一定期間、あまり動かされないので、少しずつ萎縮して、しわが作られにくくなるためと考えられます。
小顔治療や足を細くする治療は1回目の効果が現れるまでに1~2ヶ月かかり、効果は3~6ヶ月程度続きます。2回目以降は効果がより早く現れ(1~2週間)、1回目に比べて効果もしっかり出ます。小顔治療は4~6回程度繰り返すと半永久的な効果が得られることが多々あります。

ボトックスは痛いですか?

数箇所に注射しますから、ある程度の痛みはあります。当院ではなるべく痛みを抑えるために、刺す前に冷やしたり、希望者には別途局所麻酔を塗って、極細の針で注射します。痛みに弱い方にも安心して治療をお受け頂けます。

表情じわは何歳から治療するのがオススメでしょう?

おでこの横じわなど、若い頃から表情じわが目立つ方もいらっしゃいます。 10代でボトックスを受けたいといらっしゃることがありますが、10代のボトックスは、御本人がよほどコンプレックスに感じて悩んでいない限りお勧めしていません。
20代後半になると、徐々にコラーゲンなどが減ってきて、表情しわが目立ち始めます。それでもまだ、しわを作らない表情のときはしわが目立ちません。20代でのボトックスはしわの予防が主になります。
30代になると、表情しわは更に目立ち始め、この頃になると、しわを作らない状態でも、額や目尻のしわが消えなくなってきます。 ボトックスを始めるのに最適な年齢は30~40代で、ボトックスが良く効く年齢は60代までだと思います。ボトックスは即効性のある若返り治療であるのと同時に、しわが深くなったり、新たなしわができるのを予防できます。
70代を超えてくると全体的な筋力(特に目の周りの筋肉量)が低下しているためにボトックスの副反応が強く出ることがあり、慎重な治療が必要であまりお勧めしていません。

ボトックスでボツリヌス中毒になることはありますか?

ボツリヌス菌は食中毒を起こす菌として知られていますが、ボトックスはボツリヌス菌そのものを注射するわけではありません。ボツリヌス菌の毒素であるボツリヌス毒素をごく少量だけ注射します。食中毒を起こすボツリヌス毒素の量は3万単位程度なのに比べ、美容に使用される量は、2.5~100単位と極少量であり、適切な治療を行っている限り、中毒をおこす心配はありません。

ボトックスはどんな副作用がありますか?

施術後に針の跡が点状に残ったり、内出血が起こることがありますが、これらは一時的で、お化粧で隠せる程度です。
30分以内にアレルギー性の症状が出る可能性もあります。(冷や汗、めまい、意識がうすれる、考えがまとまらない、血の気が引く、息切れ、息苦しい、からだがだるい、ふらつき、眼の違和感、まぶしい、眼の異物感、涙がでる、眼の痛み、ものの形が見えにくい、ほてり、眼と口唇のまわりのはれ、しゃがれ声、息苦しい、動悸、じんましん、関節の痛み、発熱など)
当院で初期対応が可能ですので、疑わしい場合はすぐにスタッフに連絡してください。
上記のアレルギー反応以外にも、素材を注射した部位がはれぼったい感じや、眉毛が上がったり下がったりした感じ、眼の周囲の腫れ、まぶたが重くかぶさった感じ、一時的な表情の変化、ひたいが締め付けられるような頭痛を感じることがあります。このような症状には個人差がありますが、1週間から 1 ヵ月で消失してきます。症状や兆候は使用直後にあらわれないこともあります。症状が強い場合は医師に相談してください。

ボトックスで変な顔になることがありますか?

顔にボトックスをすると多少眉が上がる、目が大きくなるなど、表情に変化が現れることがあります。眉が上がると、顔全体がリフトアップされ、若返った印象を与えるため、わざと眉を上げるデザインでボトックスをすることもあります。眉が上がりすぎた場合は、補正することができます。
また、ボトックスを打つ際に動いてしまったり、打った後に揉んだりこすったりすると仮面のような不自然な表情になったり、目が下がってしまうような意図しない表情になってしまうことがあります。

ボトックス注射後に気をつけること

  • 注射当日の洗顔は問題ありませんが、注射部位を揉んだり強くこすったりしないでください。
    1-2週間後まではマッサージやホットヨガなどは避けてください。
  • 素材を注射した部位がはれぼったい感じや、眉毛が上がったり下がったりした感じ、眼の周囲の腫れ、まぶたが重くかぶさった感じ、一時的な表情の変化、ひたいが締め付けられるような頭痛を感じることがあります。
    このような症状には個人差がありますが、1週間から 1 ヵ月で消失してきます。症状や兆候は使用直後にあらわれないこともあります。
  • 投与筋以外の遠隔筋に対する影響と考えられる、眼瞼下垂(上まぶたが下がる)、閉瞼不全(まぶたが閉じなくなり、眼の乾燥によって角膜や結膜が傷つく)、構語障害(発音が不明瞭になる)、嚥下困難(飲み込みにくい)、呼吸困難、筋無力症(力が入らない、筋肉の疲労感)などがあらわれることがあります。
    神経学的障害のある人(嚥下困難などがある人、痙縮のある人など)は特に注意してください。
    上記のような症状があらわれたら、すぐに医師に診察が必要です。
  • この薬の使用後、脱力感、筋力低下、めまい、視力低下があらわれることがあるので、自動車の運転などの危険を伴う機械を操作する時は、十分に注意してください。
  • 他の医師を受診する場合や、薬局などで他の薬を購入する場合は、必ずこの薬を使用していることを医師または薬剤師に伝えてください。
  • この薬を使用後、抗体が産生されることにより、効果の減弱がみられることがあります。その場合には、抗体の検査が実施されます。
  • 妊娠する可能性のある人は、この薬の使用開始から使用終了後 2 回の月経を経るまでは避妊すること。
  • パートナーが妊娠する可能性のある男性は、この薬の使用開始から使用終了後3 ヵ月は避妊すること。

ボトックス注射を受けられない人

  • 全身性の神経筋接合部の障害がある人(重症筋無力症、ランバート・イートン症候群、筋萎縮性側索硬化症などの人)
  • 妊婦または妊娠している可能性がある人、授乳をしている人
  • 過去にボトックスビスタ®に含まれる成分で過敏な反応を経験したことがある人
  • 他のボツリヌス毒素製剤で治療中の人
  • 筋弛緩剤および筋弛緩作用のある薬を使用している人
  • 慢性の呼吸器障害がある人
  • 重篤な筋力低下あるいは萎縮がある人
  • 閉塞隅角緑内障のある人またはその素因(狭隅角など)がある人

参考資料

アラガン・ジャパン株式会社(製造販売元)
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